労働の錯覚 (Labor Illusion)

労働の錯覚(Labor Illusion)とは、サービスがユーザーに提供される過程で、労力や時間がかかっているように見せることで、ユーザーがサービスの価値を高く感じる現象のことです。これは、旅行予約サイト「KAYAK」が使用していた戦術に基づき「KAYAK効果」(Kayak Effect)とも呼ばれます。

労働の錯覚 Labor Illusion ux 例

労働の錯覚がなぜ効果があるのか

ユーザーが労力や時間がかかっていることを見ると、その努力の結果をより高く評価し、満足度が向上する傾向があるためです。この心理的効果は、ユーザーが製品やサービスの品質や価値を客観的に評価するのではなく、労力や時間の投資によって評価が変わることを示しています。

労働の錯覚の参考例

アメリカの納税サービス「Turbo Tax」はローディング中に今サービス側がどれほど減税支援の計算に頑張っているかを演出しております。これは裏側ではもう結果を出せる状態ではあるが、意図的に長めのローディング画面を差し込んでいると推察されています。

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TurboTax

Netflixはオンボーディングにてユーザーが好きな映画を聞いた後、「あなたにみったりの作品を選択しています」と記載したローディング画面を長めに表示します。これもTurboTax同様、裏側ではもう処理されておりいつでも出せる状態ではあるが、労働の錯覚の効果を得るために意図的に長めのローディング画面を差し込んでいると推察されています。

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Netflix

その他の例として、オンラインでの飛行機のチケット検索が挙げられます。ある航空会社のウェブサイトで、チケット検索の際に、検索結果がすぐに表示されるのではなく、検索エンジンが検索中であることを示すアイコンやバーが表示され、数秒間待たされることがあります。これは労働の幻想の一例であり、ユーザーに対して、検索エンジンが厳密に検索を行っていることを示唆しています。この結果、ユーザーは得られた検索結果に対して、より信頼感や価値を感じることができます。

記事の著者
松下村塾 代表 : ウルフ松陰    Twitter
グロース戦略、グロースデザイン、データ分析の専門家。松下村塾株式会社の代表として、国内外の企業にグロース戦略、施策設計、UXデザイン、アナリティクス活用、データドリブン育成をサポート。2016年にグッドデザイン賞受賞。
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